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こどもに与えたいものは何か?「自由の丘に、小屋をつくる」を読んで






「人生を買い物で豊かにしない自由。その実践の書ですね」

と表紙の帯に書かれた言葉にドキッとして買ってしまった。


なぜなら私も一度失敗した後「人生を買い物で豊かにしない自由」を手にいれたから。

川内有緒さんのエッセイ「自由の丘に小屋をつくる」の感想を2024年の最初に。




川内さんが娘さんを妊娠し出産するところから物語は始まって、唐突に「小屋を作りたい」と思って本当に小屋をつくるお話。驚くことに、小屋をつくろうと思うまでインパクトドライバーにも触ったことがなかったのに、ちゃんと雨風しのげる小屋をつくってしまってた!


私が「人生を買い物で豊かにしない自由」を手に入れた経緯


うちの長女が3歳くらい、会社員として給料をもらっていた頃の私は、主人とのダブルインカムでそこそこ豊かに暮らしていた。欲しいものは躊躇せず買えるし、仕事で疲れたら保育園のママ友を誘ってその辺のお店で週5日外食する日々。娘には可愛い服や高級なおもちゃを買い与えて、ああど田舎から出てきて頑張ってきた甲斐があったなあと思っていた。

だがしかし、当の娘は可愛い服にも高級なおもちゃにも見向きもせず、だんだん馬鹿馬鹿しくなっていった。

何を買っても喜ばないのに、なんでこんなに一所懸命買い物してるんだろう。

そのために旦那とスケジュール調整して残業もいっぱいして何してるんだろう。

その時間で子どもと遊んだ方が良くない?

馬鹿馬鹿しい、もうやーめた


と思ってから、貧乏になる勇気もなく辞めるのに2年くらいかかり。

そんな失敗の後に「人生を買い物で豊かにしない自由」を私自身も手に入れて、こどもたちと欲しいものをつくる活動を始めました。その大義みたいなものを人にどう言語化したらいいかが全然わからなかった。きっとこの本にはそれが書いてあるんじゃないかとワクワクしながら読み進めました。


 

小屋をつくることが、いかに豊かでどう自由につながるの?


この言語化は私には難しいので、ぜひ本書を読んでみてほしい。わたしがいいなと思ったのは、本気を出せば数日でできちゃう一坪サイズの小屋を、コロナの影響もあったとはいえ4年もかけてつくってる衝撃。4年もの間「小屋をつくる」というミッションのために年代も国籍もセクシャルも超えた人たちが集まってくる。

「ちょっとDIYしてみたい」ってレベルじゃない。実際は基礎のコンクリート打ったり、屋根に登って屋根貼ったり、ちょっとゆるふわDIYしてみたいってレベルじゃない。超労働!それでも「小屋作りオモシロそう」で人が集まって小屋できちゃうんだ!みたいな体感と驚き。少しづつ完成に近づいていく高揚感!きっと現場にいたら一緒にワクワクしていただろうな。


わざわざ大変なことしなくてもいいのにやっちゃう無謀さ

大きな買い物として何かを手にいれるのは安心安全のために必要で、ほとんどの人は作らずに買う。買い物をするときは「お客様」になれるから、神様ばりに丁寧に扱われる、故に嫌な思いをすることはあまりない。一方作るとなると作業自体もキツイ・汚い・危険な上に、小屋ともなると材料費どうしよう、台風で屋根が飛ばないかというハラハラ、トイレないとやっぱ不便、でもどうやって作ればいいの…?と考えて決断する場面も多い。小さなお子さん抱えて小屋づくりしようって、何も予見できない素人だからこそできた無謀さで、その行動力が本当に好き。


こどもに与えたいものは自分がやる

出会わなくていい苦しさにわざわざ飛び込んで、なお深刻になりすぎず淡々と作る、この生き様みたいなのを作者の川内さんは娘さんにふんわりとみせたかったんじゃないかなと終始感じました。


「こどもに何かを与える」じゃなくて、川内さん自身が「どうなるかわからないけど小屋を作りたい」という自分の気持ちにまっすぐ向き合っているのがすごく良かった。

やりたいことがあったら、やり方わからなくてもこうやってやればいいんだよっていう姿を、小屋を作るという覚悟と共に見せている。勉強する子になって欲しかったら親が自ら楽しそうに勉強するといい、っていうのと同じ考えかも。






子育てなんて結局、親の立場でこどもに何を与えられるか一所懸命考えて、ベストを尽くすしかできないんじゃないだろうか。


こどもの性格によっても受け取り方は全然違うから、同じことをやっていても我が4人の子どもの育ち方はみんな違う。何が正解かなんてわからないし、自分の人生じゃないから全部コントロールできるわけでもない。親から何を受け取るか選ぶのは子ども自身。


当時3歳だった長女はこの春就職して独り立ちする予定。「人生を買い物で豊かにしない自由」を手にいれた私の人生は娘から見ると「不安定な人生を送る人の見本」に映り、安定を求めて大企業に就職する。


でもここからが本当の人生のスタートだよね。ここから彼女が自分の人生を生きてどう変わっていくか楽しみ。がんばれ娘。これからは君の自由の丘を探しておくれ。




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