未就学児の自由なアイデアと高学年からの巧緻性
皆さんはこどもが自由に作った作品は好きですか?
大人になるとついつい、役に立つものや完成度の高い作品を作ろうとしがちで、こどもが楽しく工作することが理解できにくくなりますよね。もうゴミにしか見えない私の心こそゴミなんだけど、そのオモシロさって子ども同士だと伝わります。

こちら最近のヒット作!
「しみチョココーンにしみチョココーンを重ねるの」
と箱の各面にある「ギンビスのロゴ」「全粒粉の文字」など同じパーツを切っては上に重ねては、ひたすらテープで貼る。
そこに意味はあるの?なんて大人の考えは無粋なようで、
なぜなら他の子が見にきては「重ねて張ってるんだ、いいね!」って口々に言うんです。
ここに子ども心をくすぐる何かがあるようなんです。
子ども同志の素直な賞賛は、他の子がいることろでたくさん得られ、良い時間を過ごせます。
ゆっくり育つ子にとって年下からの賞賛は絶大
とくにゆっくり慎重に成長する子は、同級生からは褒められにくいものの、年下の子からすごい!と言われるとぐっと成長します。
工作のアイデアがなくぐだぐだ3年間を過ごしたA君。たまたまつくった工作用紙の立体作品(確か最初はサイコロ状だった)を「すごい!こんなに簡単につくれるの?』と下の子に言われて調子に乗ったA君は、小5から立体工作に目覚めました。
最初は雷門を、その後姫路城、国会議事堂、平等院、難しすぎて挫折した軍艦島、東京駅含めると数々の大きな建築模型を作りました。
画像は平等院です。
プロの模型屋さんの作品や、工作キットと比べたら雑で、細かい作り込みのない大味なものに見えますが、かなり高度な総合力を駆使しています。
実はこの模型のすごいところは、iPadで検索したいろんな角度の画像を見て、立体を想像しながら作っている点です。複雑な屋根の形をサクサクと作っていくんですね。

じゆう工作では年齢が小さい子ほど自由な心で自由に作ります。
実際に生まれる工作は稚拙に目ても、子どもの頭の中は夢いっぱいに見えています。
それが小1〜小2あたりで「ちゃんとしたものをつくりたい」という思いが芽生えてくるので、自分の技術とやりたいこととのギャップに苦しみ、じゆうに作れない子が増えてきます。
その苦しみで嫌になって辞めちゃう子が多いです。これがものづくりにおける「小1の壁」。
苦しみを乗り越えた子は、高学年になると技術力がついてくるのでぐっとできることが増える、という傾向があります。
巧緻性(こうちせい・手先が器用、体を思い通りに動かすという意味で使われる)とアイデアが一致するのが小学校高学年くらいからなので、「小1の壁」は本当にやっかいです。
工作のいいところは、評価が多様なところ。スポーツや勉強は簡単にランクがついてしまうけど、工作だと「色のセンスがある」「いつも可愛いものを作っている」というポイントが褒められたり、「精巧なものが作れてすごい!」という評価まで、その子の得意なところを褒めてもらいやすいので、高学年まで続けてほしいなあと思っています。

西落合シェア工房のシンボルとなっているLEGOの東京タワーは、パーツ選びから設計まで1年かけて当時小6の女子がつくったもの。とにかく時間をかけてじっくり納得のいくものを作りたがる子だったので、2回ほど途中で壊して一から作り直しました。
とにかく人と話すことが苦手だったので一人で黙々と作ります。
人と話すのが苦手でも作ることで気持ちを表現したり、人に話しかけられるきっかけになったりするといいなと思いました。

こちらは4年間ずっとドールハウスを作り続けている子が今作っているスイーツショップ。初代と比べてクオリティーが格段に上がっています。
ずっと同じテーマで作り続けるのは本当に上達します。
ものづくりは面倒臭いことも多いですが、誰かにやれと言われたものではなく自分の内側から湧いてきたアイデアは、面倒臭いを乗り越える力があるなあ、とこういう作品たちを見ると本当に感心します。
じゆう工作何をしたらいいかわからない!じゆうに作ることになんの意味があるの?と思う方もいらっしゃるかと思いますが、その子の得意なことを見つけて伸ばして自信をつけること、これに尽きます。
正直工作しないけど「人を楽しい気分にするのが得意な子」もいます。そういう子にはイベント仕切ってもらったり。
大人になって自分探しをするときに「そういえば工作楽しかったな」とこどもの頃の記憶が大事な種になりますよ。
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